第1話  テール登場

 ある日、何気なく庭を見ると知らない犬がいる。猟犬だ。

今、サンポとアン、ウールとで犬が3匹いる。前も3匹レトリバーを飼っていたから私の許容範囲内だった。しかし、4匹目は!無理!絶対無理だ。

なぜこの犬がウチの庭にいるのか。私は覚悟をもって淳さんに聞いた。「なんで⁈」

彼が言うには、千曲川でサンポたち3匹が泳いで遊んでいると、テールが寄ってきた。

周りの釣り人に聞いても誰の犬でもなかった。仕方なしにアンのリードをつないで4匹で帰ってきたとのことだった。

ガリガリにやせていてあばら骨が見える。すぐに保健所、警察に連絡したが迷い犬の届け出はないとのこと。

その日はウチで過ごすことになった。

驚いたのは食事の時、お皿に乗ったレバーと鶏ガラ等、山盛りのご飯に大興奮!

ウォーホーホホホーという雄叫びに私たち、サンポ、アン、つまり全員が震えた。

床に置いたご飯をガツガツ食べる姿に恐怖を感じた。食べている最中に近寄ったら危険、嚙みつかれそうだ。

後日、それは本当のことになった。

近くを通っただけでサンポは耳を少しかじられ、アンは鼻の近くを噛まれ顔に小さな引っかき傷ができてしまった。

テールはどのくらい放浪していたのか、おしりの腰骨がふた山、鹿島槍のピークのようにとんがっている。

初めのうちは飼ってくれる人を探したが途中であきらめた。とても普通の家庭では飼えそうにない・・

人懐こくて可愛いところもあるが、食事時は近寄れない。

盗られたりしないと安心するまでには時間がかかった。

床にエサを置くと自分の長い耳を噛んで血が出る。

その耳をブルンブルンブルン・・部屋中に血が飛び散るからたまらない。

壁もカーテンも血しぶきだらけ。近くの炊飯器も、すべてだ。なすすべなし。

しばらく経って落ち着いたころから両手で食器を持って高い位置で食べさせるようにした。

血しぶきはようやく収まった。

エサに関してテールは凶暴だ。サンポ達よりハングリーなテールの登場で平和な日常は失われた。

みんなの心に不安が広がった。